[建築]ウィーン工房1903-1932

汐留ミュージアムで開かれている展覧会に行って来た。ウィーン分離派のヨーゼフ・ホフマンとコロマン・モーザーが中心となって開いた工房である。建築から、家具、照明、テキスタイル、壁紙などのインテリア、ファッションとアクセサリー、食器やカトラリーまで生活すべてにおいて美意識を高める総合芸術という、理想を掲げたデザイナーと職人の集団であった。しかし「公衆、デザイナー、職人の三者の間の親密な交流を実現させ、良質で簡素な家具を制作したい」と謳う工房の理想は、経営難にぶつかり、1932年に崩壊してしまう。

直線と矩形を重視した造形、社会および大衆への積極的な意識、芸術性と商品性との間に生じる葛藤、消費経済などウィーン工房が示す問題点は、100年たった今も同じである。

「生活すべてにおいて美意識を高める総合芸術」という考え方は通った大学の理念でもあり、ウィリアム・モリスのアーツアンドクラフツ運動、バウハウスグラスゴー派(マッキントッシュ)については随分学んだが、心していないとついおろそかにしてしまうものである。設計の仕事に関わりながら、レベルは違うけれどいつもこんな風に悩んでいる。